近くの集落で、古民家の移築のための解体作業が進んでいます。
昔は、当たり前に行われていた作業です。
いくらなんでも施主や大工が、将来の移築を想定して家を建てていたとは思いませんが、ひょっとしたら将来移築され誰かの役に立つのでは、と言う可能性までは否定していなかったように思います。
解体廃棄と言う現在の流れは、今の施工方法では無理からぬことで、その意味において、正しい効率的な処理方法であることは確かですが、非常にもったいないことには変わりはありません。
この、古民家は昭和初期の新築ですが、あらわになった構造材に意味のないほぞ穴が見られます。
そう、古材を流用しているのです。
このようなことは民家だけに限らず、城であっても寺社であっても見られることです。もったいないという考えも当然あったでしょうが、同時に、使えるものは使い切るという職人の目利きの現れを感じます。
この古民家は、滋賀県に行くそうです。滋賀県と言えば琵琶湖、湖畔の風景が浮かびます。
願わくば湖畔の緑豊かな地に建ち、飛騨の風土が育んだ、飛騨民家の意匠美を存分に発揮してほしいと思います。